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名もない路地にもさまざま魅力あって

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路地のカタチ/RojinoKatachi


路地のカタチ/RojinoKatachi

究極の路地


惚れ惚れするね、このふたつの路地は。路地の上り坂のカーブといい、トタン塀と板壁、トタンと石垣モルタルに囲まれたノスタルジーの世界!!見えぬ先へのワクワクの不安感と期待感。この先どこに抜けるのか、はたまた行き止まり!?兎も角も吾輩の長〜い口ひげはピクピク、ピクピク反応するのだ。路地のカタチ/RojinoKatachi


屋根付きの路地


これはいとも珍しい路地だね。両側の板塀に屋根付きという、心温まる路地だねぇ。おまけに歴史を刻み込んだ石畳のいぶし銀のような輝き!人を、ではなくて猫を惹きつける趣のある路地だ。実はこの路地、尾道では名もある有名な路地なのだ。この路地の名は「神鎮小路」。路地のカタチ/RojinoKatachi


抜けられる?!抜けてみたいなこんな路地


夜ともなれば飲食店の明かりが連なる路地なのだが、素っピンの昼の顔はなんだかピンボケぎみで味気ない。一昨年までこの路地の入口左側にあった建物の壁が、今は路地の天敵・駐車場のフェンスになったせいなのか。とはいうものの、何だか気になるこんな路地。この路地は新開(しんがい)と呼ばれる歓楽街の一角にある肩触れあうほど狭い路地だが、昼間の明かりで先の先まで見え過ぎて...。どこまで続くの?抜けられるのかな?一直線に続く狭〜い路地は、昼間はジロジロ、夜は息を止めて一気に抜けられる?!路地のカタチ/RojinoKatachi


チントンシャン、尾道的風情のある路地


くにゅーと曲がった先も気になるが、光と影、現代的なRC(鉄筋コンクリート)建築物と古風な和風木造建築物の織り成す味わいがいいねぇ。ここは歓楽街の裏通りで、表札から想像すると、右手の家は舞踊のお師匠さんのお宅と思えるのだが...。チントンシャンの音色が今にも聞こえてきそうだなぁ。路地のカタチ/RojinoKatachi


日なたぼっこの路地


路地は陰と決まったものではない。路地の奥にも陽が差込むところがあるのだ。取り残された椅子はもうすぐ裏のご老人が来て、腰掛けられるのを楽しみに待っているように見えるのだが...。何だか人知れず隠された、心やすらぐひとりだけの楽しみがここにはありそうだニャン。路地のカタチ/RojinoKatachi


静ひつという名の路地


味わいのあるちょっとサビついたトタン塀が、路地の背筋をピツッと伸ばしている。右手の生け垣の先にある門がなぜか茶室に通じる日本庭園の趣を印象づけるようで、まさに猫的には「静ひつという名の露地」と名付けてみたいと思うのだが...。路地のカタチ/RojinoKatachi


「古寺めぐり」という名の小路


大宝山、愛宕山、瑠璃山の尾道三山に点在する寺々を結ぶ小路を「古寺めぐり」と名付け、石のタイル張りに舗装したのは1980年代頃だったろうか。
旧市街地の路地とは違い、いつもピッカピカの一年生といった感じで、吾輩たち猫族にはちょっと近寄り難い小路だったのだが、時間には恐ろしいほどの魔力があるものだ。いつの間にか、周囲の風景に馴染んできて、何とか空間の落ち着きを取り戻して来た。
医療の進歩は驚異的で、万一、吾輩のような猫がもう二十年先に生きていれば、目玉が回りそうなあのタイルのデザインも擦り切れて、ほどよい加減になっていることだろう。もっとも、その頃は吾輩のこの鋭い目も老人力いや老ニャン力を得て、ものごとすべて霞を通して円満にまーるく丸〜く見えるようになっていると思うのだが...。路地のカタチ/RojinoKatachi


側面の素材で変わる路地の印象

路地でも小路でも言えることだが、路地を囲む側面の素材によって、その印象はガラリと変わる。例えば、板塀と石垣だ。まるで百年以上も連れ添った仲って感じだね。板と石垣の質感が良いねぇ。緑の木々が木陰をつくり、ピカピカの蜘蛛の巣タイルも少しは大人しげに見えてくる。
次に生け垣、土塀に石垣という路地の側面の組み合わせはどうか。何故か、この小さな道を野球帽をかぶった少年が自転車に乗って通りかかる、というシーンが吾輩の記憶の中に鮮明に残っていて格好いい。最後に石垣とモルタルの塀の取り合わせ。どうですか、モルタルの汚れ具合と小路の描く曲線の美しさ。言葉では言い表せぬ魅力だね。
これらいずれの小路も人工的に計算されたものではないのだ。いわば斜面という自然が発揮した芸術性により絶妙な組み合わせを生んだ、という「尾道美」の一つだろう。そして、これらの小路には、山の南側斜面という立地特有の明るく爽やかな風がいつも吹抜けている。
ずらずら、文字を書き連ねていたら、尾道らしい素材を吾輩ともあろうものが、書き忘れてしまった。それは錆びついたトタン塀だ。吾輩が尊敬する赤瀬川原平さんがパチリと撮られた写真の一つが、潮風に錆びついたトタン塀だった。赤瀬川さん、その写真にピッタリの素晴らしい言葉を添えた、それは「潮風が風情を運ぶまち」。痺れて吾輩の尻尾が舞い上がった。
参考ながら、下記の写真は二枚(自転車に乗った少年と古寺めぐりの路地写真)を除いて、残り全ては山陽本線以南の歴史地区の小路だ。
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